2022年11月29日火曜日

クライミング初心者に伝えるべき事

クライミングは危険を伴うスポーツです.殆どの事故は広く知られた安全な手順を間違えたり忘れていたり伝えられていなかったりすることで起きています. 特に,初心者に伝えるべき事は多いので,経験者が伝え忘れに注意しなければなりません. 最近まで初心者だった自分が初心者の気持ちを忘れないうちに伝えるべき事,自分が疑問に思ったことをメモしています. チェックリストは伝えるべき順に配置しています. 特に始めて一緒に登るけれど,何度か経験があるという人が要注意です. このチェックリストにより事故が減ることを願います.

クライミング概要

トップロープ・リード・ボルダリングの違い
インドアとアウトドアの違い:アプローチ,現地の環境,雨,落石
インドアに最低限必要な物:クライミングシューズ(レンタルの場合は靴下も),ハーネス,ビレイ器,環付きカラビナ,チョーク
アウトドアで最低限必要な物:インドアに最低限必要な物 + ヘルメット,ザック,アプローチシューズ,昼食・水

トップロープ・クライミング(回収なし)

二重八の字結び:半ひろのところに結び目,団子結びとの比較,フォロースルー
ビレイループかタイインループか:直接ロープを掛ける場合はタイインループ
カラビナの外し方:手がとどく時点で外す,ロープ側を外す,外し方のコツ
終了点についたら:テンション→テンションOK→ダウン,終了点は触らない,8の字結びは解かない
ロワーダウンの姿勢:岩から手を離す,ロープを持たない
テンション・ロワーダウンの体験:実際に登る前に数m登って落ちたり,テンションを張って歩いて降りてみる

トップロープ・クライミング(回収あり)

終了点の回収(終了点がカラビナの場合):終了点側にロープを掛ける→テンション→ヌンチャク回収→ロワーダウン
終了点の回収(終了点がリング状の場合):セルフビレイ→ロープの架替え→テンション→セルフビレイ解除→ロワーダウン
中間支点の回収:ロープ側から外すかボルト側から外すか,ルートが斜めの場合はヌンチャクでガイドする
ロープの回収:ロープダウン,8の字の結び目を解き忘れないように,落石注意

トップロープ・ビレイ

ビレイ器制動の仕組み:ロープを引く向きを変えると制動力が変わる,ビレイヤ側を引く,クライマ側は引かない
ビレイ器のロープの通し方:クライマ側とビレイヤ側
ロープの張りぐあい:引けなくなるまでロープを引く,張りすぎると登りにくい
制動側の手を離さない工夫:制動側の手を離さないために一時的に両手で持つ
落下体験:実際に登る前に数m登って落ちたときの制動と衝撃を体験させる
テンションコール時の動作:ロープのたるみを無くす,更に体重をかけて引く
ロワーダウン時の制動方法:制動側の手の位置(前後)で速度を制御する

リード・クライミング(ヌンチャク設置済み)

リードクライミングの手順と仕組み
リードクライミングの難しさ:クリップ動作の分だけ時間が長い,トップロープより落下距離が長い
クリップ方法:カラビナの向きとクリップ方法の違い,ヌンチャクのカラビナに手が届けばクリップ可
クリップ方法(肩より上の場合):口でくわえてロープを伸ばす
逆クリップとZクリップ:クライマー側のロープが手前,ロープは8の字結びからたぐる
たぐり落ちの危険性:3ピン目までは肩より上にはクリップしない
ロープと足の位置:落下時にロープが足に引っかからないように足を置く
落下時の注意:ビレイや側のロープを持つと火傷する,壁面への衝突に備える
敗退方法:テンション→ロワーダウン

リード・クライミング(ヌンチャク未設置)

ヌンチャクの必要本数:ボルトの数+終了点用2つ+α
ヌンチャクの上下:カラビナが固定されていない方がボルト側
ヌンチャクの左右の向き:進行方向にスパインを向ける
終了点の構築方法:カラビナが互い違いになるようにヌンチャク2本を掛ける

リード・ビレイ

リード・ビレイの難しさ:落下時のビレイヤへの衝撃が大きい,ロープをタイミングよく出したり引いたりする必要がある
グローブの必要性:落下時の衝撃が大きいので火傷する可能性がある
1ピン目掛けるまで:両手をクライマを受け止める体勢に,ロープは長めに出しておく/クライマの肩に掛ける
2ピン目以降:ボルトを通過するまではロープを引く,ボルトを通過したらロープを出す
クリップ動作時のロープ出し:大きくロープを出す,肩から上のクリップの場合は2,3回ロープを出す,遅いと怒られる
足場が悪いところではセルフビレイを:1ピン目掛ける前にクライマが落ちたらビレイヤと共に滑落する
クライマとの衝突の危険性:クライマが滑落した際にビレイヤに衝突する可能性を考えて立ち位置を決める
岩壁との衝突の危険性:クライマが滑落した1ピン目の方向にビレイヤの体が飛ばされることを考えて立ち位置を決める
ロープが絡む危険性:ビレイ中にロープが絡む危険性について,ロープのどちらの末端をクライマ側にすべきか

リード・敗退方法

捨てカラビナによる敗退:いつでも捨てても良いカラビナを1つ準備しておく必要がある
スリングによる残置なし敗退:ロープの1/3しか下れない